はじめての投資のリスク:リスクを理解して不安を減らす基本
「投資に興味はあるけれど、損するのが怖い」と感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。お金を増やせる可能性がある一方で、「リスク」という言葉を聞くと尻込みしてしまうかもしれません。
投資におけるリスクは、ただ「危険」という意味ではありません。リスクを正しく理解し、上手に向き合うための方法を知ることは、投資を始める上で非常に大切です。この記事では、投資のリスクについて分かりやすく解説し、皆さんが投資への一歩を踏み出す際の不安を少しでも減らせるようサポートします。
投資における「リスク」とは?
投資の世界で使われる「リスク」という言葉は、日常生活で使う「危険」という意味合いとは少し異なります。投資におけるリスクとは、「将来の成果が不確実であること」、つまり、「価格が変動する可能性」や「予想通りにいかない振れ幅」のことを指します。
例えば、天気予報で「降水確率50%」と言われた場合、これは「雨が降る危険性」ではなく、「雨が降るか降らないか分からない不確実性」を示しています。投資のリスクもこれに似ており、投資した資産の価格が上がったり下がったりする「ブレ幅」や「不確実性」を表す言葉として理解してください。
価格のブレ幅が大きい資産は「リスクが高い」、ブレ幅が小さい資産は「リスクが低い」と表現されます。リスクが高い資産は、大きく増える可能性がある一方で、大きく減ってしまう可能性もあるということです。
投資に潜む主なリスクの種類
投資にはいくつかの種類のリスクがあります。ここでは代表的なものをいくつかご紹介します。
- 価格変動リスク: 投資した資産(株式や投資信託など)の価格が、市場の状況や企業の業績などによって変動するリスクです。購入した時よりも価格が下がってしまうと、損失が発生します。
- 信用リスク(デフォルトリスク): 投資先の企業や国などが、借入金や利息を返済できなくなる(債務不履行になる)リスクです。特に債券投資などで重要になります。
- 金利変動リスク: 市場の金利が変動することで、投資した資産の価値が変動するリスクです。一般的に、金利が上昇すると、既に発行されている固定金利の債券価格などは下がる傾向があります。
- 為替変動リスク: 外国の資産に投資する場合に発生するリスクです。為替レート(例:1ドル=150円が140円になる)が変動することで、円に戻す際に価値が変動する可能性があります。
これらのリスクは、投資する資産の種類や市場環境によって異なります。
リスクとリターンの関係
投資においては、「リスクとリターンは表裏一体」と言われます。リターンとは、投資によって得られる収益のことです。
一般的に、期待できるリターンが高い投資は、リスクも高くなる傾向があります。反対に、リスクが低い投資は、期待できるリターンも低くなる傾向があります。
この関係性を、以下の図のようにイメージすると分かりやすいかもしれません。(※実際には図がここに挿入されることを想定しています)
リスクを全く取らずに高いリターンを得ることは難しい、ということを理解しておくことが大切です。
投資の不安を減らすための向き合い方
リスクについて理解した上で、「やっぱり怖い」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、リスクはゼロにできなくても、いくつかの方法でコントロールし、不安を減らすことができます。
1. 分散投資を心がける
これは投資における最も基本的な考え方の一つです。「卵を一つのカゴに盛るな」という格言を聞いたことがあるでしょうか?もしカゴを落としてしまったら、全ての卵が割れてしまいます。しかし、複数のカゴに分けておけば、一つのカゴを落としても他の卵は無事かもしれません。
投資においても同様です。一つの資産や一つの地域だけに集中して投資するのではなく、複数の資産、複数の地域に分けて投資することで、どれか一つが値下がりした場合でも、全体の損失を抑える効果が期待できます。
- 資産の分散: 株式、債券、不動産、投資信託など、異なる種類の資産に分けて投資します。
- 地域の分散: 日本だけでなく、アメリカやヨーロッパ、新興国など、世界の様々な地域の資産に投資します。
- 時間の分散: 一度に全額を投資するのではなく、毎月一定額を積み立てるなど、複数回に分けて投資します。これにより、高値掴みのリスクを避け、平均購入価格を安定させる効果が期待できます。
これらの分散を組み合わせることで、リスクを効果的に軽減できます。
2. 長期投資を基本とする
短期間で売買を繰り返すと、市場の短期的な値動きに一喜一憂しやすく、リスクも高まりがちです。一方、長期的に投資を続けることで、短期的な価格変動の影響を和らげ、複利の効果(利益が利益を生む効果)を享受しやすくなります。
過去の市場データを見ると、一時的に価格が下落しても、長い目で見れば回復・成長している資産が多く存在します。特に20代のような若い時期から投資を始める場合、運用できる期間が長く取れるため、長期投資のメリットを最大限に活かせます。
3. 無理のない範囲で投資する
投資は、生活に必要なお金とは別に、当面使う予定のない「余裕資金」で行うのが鉄則です。もしもの時のための「生活防衛資金」(生活費の3ヶ月~1年分程度)はしっかりと確保しておきましょう。
無理な金額を投資に回すと、価格が少し下がっただけでも精神的に大きな負担となり、本来は続けるべき投資を途中でやめてしまうことにもつながりかねません。ご自身の収入や支出、将来の計画などを考慮し、無理なく続けられる金額から始めることが重要です。
4. 知識を身につけ、情報収集を続ける
投資対象についてよく理解しないまま投資することは、リスクを高める行為です。投資を始める前に、どのような資産に投資するのか、その資産にはどのようなリスクがあるのかなどをしっかりと学びましょう。
また、投資を始めた後も、経済や市場に関するニュースをチェックするなど、定期的に情報収集を行うことが大切です。ただし、情報に振り回されすぎず、冷静な判断を心がけてください。
5. 投資の目標と計画を立てる
何のために投資をするのか、いつまでにどれくらいの金額を目標とするのかを明確にすることで、適切なリスクの取り方や投資方法が見えてきます。「なんとなく」始めるのではなく、目標に基づいた計画を立てましょう。例えば、「〇年後に留学するための資金」「将来の住まい購入の頭金」「老後資金の準備」など、具体的な目的があると、投資に対する向き合い方も変わってきます。
まとめ
投資における「リスク」は、「危険」そのものではなく、価格が変動する「不確実性」や「振れ幅」のことです。リスクがあるからこそ、リターンも期待できます。
そして、このリスクは、正しく理解し、適切な対策をとることでコントロールすることが可能です。
- 分散投資でリスクを和らげる
- 長期投資で時間の味方につける
- 余裕資金で無理なく続ける
- 知識を身につけ冷静に判断する
- 目標と計画を持って取り組む
これらの基本を実践することで、「投資は怖い」という漠然とした不安を減らし、賢く資産づくりを始めていくことができるでしょう。
まずは少額からでも、学んだ知識を活かして一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。もし分からないことがあれば、信頼できる情報源で調べたり、専門家の意見を聞いたりすることも大切です。
この情報が、皆さんの投資への第一歩の助けとなれば幸いです。