はじめてのお金の勉強:何から始める?継続のコツ
お金について学びたいという気持ちがあっても、「何から始めればいいのだろう」「難しそう」と感じて、最初の一歩を踏み出せずにいる方もいらっしゃるかもしれません。特に学生や新社会人の頃は、手取り収入が入り始め、将来への期待とともに、お金に対する漠然とした不安や疑問が生まれてくる時期でもあります。
お金に関する正しい知識、つまりマネーリテラシー(お金に関する知識や判断力のこと)を身につけることは、将来の選択肢を広げ、より豊かな生活を送るための大切な土台となります。この記事では、はじめてお金の勉強をする方が、無理なく最初の一歩を踏み出し、学びを継続するための具体的なステップとコツをご紹介します。
なぜ今、お金の勉強が必要なのか?
お金の知識は、学校では教えてくれないことが多い一方で、日々の生活や将来のライフイベントに深く関わってきます。
- 日々の生活: 収入と支出を管理し、無駄を減らして賢くお金を使うために必要です。
- 将来への備え: 貯金や資産形成を通して、結婚、子育て、住宅購入、老後など、将来の大きな出費や生活に備えるために役立ちます。
- 不測の事態への対応: 病気や失業など、もしもの時に自分自身や家族を守るための資金計画に不可欠です。
- 情報を正しく判断する力: お金に関する情報は世の中に溢れています。正しい知識があれば、自分にとって本当に必要な情報を見極め、怪しい話に騙されるリスクを減らすことができます。
「お金がない」「お金の管理が苦手」といった不安や悩みも、正しい知識を身につけ、実践することで解消されていくはずです。
お金の勉強を始める前の心構え
勉強を始める前に、少しだけ心構えを持っておくと、よりスムーズに進められます。
- 完璧を目指さない: 最初から全てを理解しようとする必要はありません。まずは興味のあることや、今の自分に一番関係のあることから学び始めましょう。少しずつ知識を積み重ねることが大切です。
- 「なぜ学ぶのか」目的を考える: 「漠然とした不安があるから」という理由でも十分ですが、「将来のために〇〇円貯めたい」「旅行資金を貯めたい」「老後資金について知りたい」など、具体的な目的があると、モチベーションを維持しやすくなります。
- 自分の「お金の現状」を把握する: 今、自分にいくらの収入があり、何にいくら使っているのかを知ることがスタートラインです。難しく考える必要はありません。まずは家計簿をつけてみたり、銀行口座の入出金履歴を見てみたりすることから始めましょう。
具体的に何から始める?最初の一歩
では、具体的に何から学べば良いのでしょうか。以下のステップで進めてみることをおすすめします。
ステップ1:お金の基礎知識をざっくりインプットする
まずは、お金にまつわる基本的な用語や仕組みを知ることから始めます。
- 家計管理: 収入、支出、貯金、予算といった基本的な概念を理解します。
- 貯金・資産形成: 貯金の基本的な方法や、NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)やiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)といった国の制度について、まずは名前と概要を知るところから始めます。(これらの制度については、別の記事で詳しく解説しています。)
- 税金・社会保険: 給与明細に記載されている所得税、住民税、健康保険料、厚生年金保険料などが何のために引かれているのか、基本的な仕組みを理解します。
これらの基礎知識をインプットするための手段は様々です。
- 書籍: 初心者向けに書かれたお金に関する入門書はたくさんあります。体系的に学びやすいでしょう。
- ウェブサイト・ブログ: 信頼できる情報源を選び、気になるトピックから読み進めていく方法です。
- 動画: YouTubeなどでお金に関する解説動画を見るのも分かりやすい方法の一つです。
たくさんの情報源がありますが、まずは1つか2つ、自分に合ったものを選んで、少しずつ読み進めたり見たりすることから始めてみてください。
ステップ2:自分の家計の「見える化」を始める
基礎知識と並行して、自分の家計の現状を把握する作業を始めましょう。これはお金の勉強を「自分ごと」にするために非常に重要なステップです。
- 収入を把握: 毎月の給与やその他の収入がいくらあるかを確認します。
- 支出を記録: 毎月何にどれくらいお金を使っているかを記録します。
- スマートフォンアプリの家計簿機能を利用する
- スプレッドシートやExcelに入力する
- ノートに手書きする
- レシートをまとめておく ご自身が無理なく続けられる方法で構いません。まずは1週間でも良いので、支出を記録してみてください。
- 収支を把握: 収入から支出を差し引いて、毎月いくら残るのか(または足りないのか)を把握します。
この「見える化」によって、どこに無駄があるのか、どこから貯金に回せるのかが見えてきます。以下の図は、収入と支出を把握し、それらを分類することの重要性を示しています。(図:収入・支出・貯金の関係性、固定費・変動費の分類などをイメージ)
ステップ3:小さくても良いので実践してみる
知識をインプットし、家計の現状が見えたら、次は小さな実践を始めてみましょう。
- 例えば、記録した支出の中から、削減できそうな項目(例:コンビニでの買い物の頻度を減らす、不要なサブスクリプションを解約するなど)を見つけて、少しだけ試してみる。
- 毎月〇〇円、と決めて少額から貯金を始めてみる。
- キャッシュレス決済でポイントを貯める習慣をつけてみる。
実践することで、「学んだことが役に立った」という成功体験が得られ、さらに学ぶ意欲につながります。
お金の勉強を継続するためのコツ
お金の勉強は一度きりではなく、日々の生活の中で継続していくことが大切です。
- 「学ぶ時間」を習慣にする: 例えば、「週に一度、30分だけお金に関する記事を読む」「毎朝、家計簿アプリに前日の支出を入力する」のように、勉強や管理の時間を習慣の中に組み込んでみましょう。
- 小さな目標を設定し、達成感を味わう: 「今月は食費を〇〇円以内に抑える」「〇〇に関する本を1冊読む」など、達成可能な小さな目標を設定し、クリアできたら自分を褒めてあげましょう。
- 情報をアップデートする: 税金や制度は変わることがあります。常に最新の情報にアクセスできるよう、信頼できる情報源を定期的にチェックする習慣をつけましょう。
- 完璧主義にならない: 毎日家計簿をつけられなくても、目標額を達成できなくても、自分を責める必要はありません。「また明日から頑張ろう」と気持ちを切り替えることが大切です。
お金の勉強はマラソンに似ています。最初から全力で走る必要はありません。自分のペースで、楽しみながら続けることが何よりも重要です。
まとめ
お金の勉強は、「難しそう」と感じるかもしれませんが、最初の一歩を踏み出すことは誰にでもできます。
- 心構えを持つ: 完璧を目指さず、目的と現状を把握することから始めます。
- 基礎知識をインプット: 書籍やウェブサイトなどで、お金に関する基本的な用語や仕組みを学びます。
- 家計の「見える化」: 収入と支出を記録し、自分のお金の流れを把握します。
- 小さく実践: 見直しや貯金など、無理のない範囲で行動に移してみます。
- 継続を意識する: 習慣化や小さな目標設定で、学びや管理を続ける工夫をします。
お金の知識は、一度身につければ一生使えるスキルです。今日ご紹介したステップを参考に、ぜひご自身に合った方法で、お金の勉強を始めてみてください。最初の一歩が、明るい未来につながるはずです。