はじめてのお金の借り方:知っておきたい種類と注意点
お金について学び始める際、「借りる」という行為も避けて通れないテーマです。急な出費に対応したり、大きな買い物をする際に、お金を借りることを検討することがあるかもしれません。しかし、お金を借りることには、知っておくべき基本的な仕組みやリスクがあります。
このコラムでは、お金を借りることの基本から、どのような方法があるのか、そして借りる前に必ず確認しておきたい注意点について分かりやすくご説明します。
なぜお金を借りることを知っておく必要があるのか
お金を借りることは、一時的に手元にない資金を調達できる便利な方法です。しかし、計画的にお金を借り、しっかりと返済していかないと、後々苦労することにもなりかねません。特に、安易な気持ちで借りてしまうと、返済に追われる生活になったり、将来のお金の計画が狂ってしまったりする可能性もあります。
お金を賢く管理するためには、「借りる」という選択肢があることを理解しつつ、その仕組みやリスクを正しく把握しておくことが非常に大切です。
お金を借りるとはどういうことか?仕組みを理解する
お金を借りるとは、文字通り、他者(個人、金融機関など)からお金を借り、契約で定めた期日までに、借りた金額(元本)に加えて、利用料である利息を支払って返す行為を指します。
図1のように、借りる側は借入を行い、返す側は返済を行います。返済時には、借りた金額に利息を加えた額を支払うのが一般的です。
(図1:お金を借りる仕組みの概念図を想定)
- 元本(がんぽん): 借りた本来のお金の金額のことです。
- 利息(りそく): お金を借りたことに対して支払う「利用料」のようなものです。借りた金額や借りる期間、金利によって決まります。
- 金利(きんり): 元本に対する利息の割合を示すものです。通常、「年利〇%」のように表示されます。金利が高ければ高いほど、支払う利息の金額は増えます。
例えば、金利を、本を借りる際のレンタル料に例えてみましょう。レンタルする本の代金が「元本」、レンタル期間に応じて支払う料金が「利息」、レンタル料金の決め方が「金利」のようなイメージです。お金の場合、借りる期間が長くなったり、金利が高かったりすると、支払う利息が増え、最終的に返すお金の総額は増えることになります。
主なお金の借り入れ方法の種類
お金を借りる方法には様々なものがありますが、私たちの身近にある代表的なものをいくつかご紹介します。
1. ローン
特定の目的のために、金融機関などからまとまった金額を借りるものです。一般的に、借りたお金の使い道が決められています。
- 奨学金(しょうがくきん): 学生が学費や生活費のために借りるお金です。返済が必要な「貸与型」と、返済不要な「給付型」がありますが、ここでいう借り入れは貸与型を指します。
- 住宅ローン(じゅうたくローン): 家を購入するためのローンです。非常に高額になり、返済期間も長期(数十年)にわたることが多いです。
- 自動車ローン(じどうしゃローン): 車を購入するためのローンです。
- 教育ローン(きょういくローン): 学校の入学金や授業料、留学費用などの教育資金に使うためのローンです。
これらのローンは、比較的低金利であることが多いですが、審査があり、借りたお金を目的以外に使うことは原則としてできません。
2. カードローン・キャッシング
クレジットカードに付帯している機能や、消費者金融、銀行などが提供するローン商品です。原則として、借りたお金の使い道は自由であることが多いです。
- カードローン: 専用のカードやアプリを使って、ATMや振込で必要な時に必要な金額を借りられるサービスです。契約時に決められた利用限度額の範囲内で繰り返し借り入れが可能です。
- キャッシング: クレジットカードの機能の一つで、カードを使ってATMなどから現金を借り入れできるサービスです。カードローンと同様に、利用限度額があります。
これらのサービスは、手軽に利用できる反面、ローンに比べて金利が高めに設定されていることが多い傾向があります。すぐに現金が必要な場合に便利ですが、計画的に利用しないと、利息負担が大きくなるリスクがあります。
(表1:主な借り入れ方法の特徴比較表を想定)
お金を借りる前に必ず確認したい注意点
お金を借りることは、将来の自分からの借金をするようなものです。安易に借りるのではなく、以下の点をしっかりと確認し、慎重に判断することが大切です。
1. 本当に借りる必要があるか、代替手段はないか考える
急な出費でも、貯金で対応できないか、支出を減らすことで乗り切れないかなど、まずは借りること以外の方法を検討しましょう。身近な人から一時的に借りるという方法もありますが、お金の貸し借りは人間関係に影響を与える可能性もあるため、慎重な判断が必要です。
2. 返済計画をしっかり立てる
借りる前に、毎月いくらなら無理なく返済できるのか、いつまでに返し終えるのか、返済総額はいくらになるのかを具体的に計算しましょう。金融機関のウェブサイトには返済シミュレーターが用意されていることが多いので活用してみてください。
(図2:簡単な返済計画シートの例を想定)
もし、返済計画が立てられない、あるいは計画通りに返済できるか不安がある場合は、借りるべきではありません。
3. 金利と総返済額を確認する
お金を借りる際は、表示されている金利だけでなく、最終的に支払う総額(元本+利息)を確認することが非常に重要です。金利が少し違うだけでも、返済期間が長くなると総返済額に大きな差が出ることがあります。
4. 契約内容を隅々まで確認する
借り入れの金利、返済期間、返済方法、遅延した場合の条件(遅延損害金など)など、契約内容は必ず全て理解してから契約しましょう。分からない点があれば、必ず質問して解消してください。
- 遅延損害金(ちえんそんがいきん): 返済期日に遅れた場合に発生する損害賠償金のことです。通常の利息よりも高い割合で設定されていることが多く、返済が遅れるとさらに負担が増えます。
5. 信用情報(しんようじょうほう)への影響を理解する
金融機関は、個人のお金の借り入れや返済に関する情報(信用情報)を管理している機関に加盟しています。借り入れ状況や返済状況はこの信用情報として記録され、将来、住宅ローンや自動車ローンなどを組む際の審査に影響を与えることがあります。返済が滞ると、信用情報に傷がつき、今後の借り入れやクレジットカードの作成が難しくなる可能性があります。
6. 悪質な業者(闇金)に絶対に関わらない
法外な金利を要求したり、強引な取り立てを行ったりする違法な金融業者(俗に「闇金」と呼ばれます)には絶対に関わってはいけません。正規の金融機関は必ず登録をしており、金利の上限も法律で定められています。不審な業者には近づかないように注意しましょう。
まとめ
お金を借りることは、私たちの生活において時に役立つ手段となり得ますが、同時に大きな責任も伴います。特に、はじめてお金を借りるという場合は、その仕組み、種類、そして何よりもリスクと注意点を十分に理解しておくことが不可欠です。
安易な借り入れは避け、本当に必要か、返済計画は立てられるか、金利や契約内容は理解できているかなど、多角的に検討することが賢いお金との付き合い方につながります。もしお金を借りることを検討する場面が訪れたら、このコラムでご紹介した内容を参考に、慎重に判断するようにしてください。お金に関する知識を身につけることは、将来の安心に繋がる第一歩です。