はじめての貯金:無理なく始める第一歩
はじめに:なぜ今、貯金が必要なのでしょうか
お金を貯めることは、将来の安心につながる大切な準備です。突然の出費に備えたり、将来叶えたい夢(旅行、留学、マイホーム購入など)を実現したりするために、貯金は欠かせません。しかし、「どうやって始めたらいいの?」「なかなかお金が貯まらない」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。
この章では、これから貯金を始めたい方が、無理なく、そして着実に貯金を続けるための第一歩を解説します。まず、なぜ貯金が必要なのか、その理由を明確にすることから始めましょう。
貯金の目的を明確にする
漠然と「お金を貯めなきゃ」と思うだけでは、なかなか貯金は続きません。貯金を成功させるためには、「何のために貯めるのか」という目的を具体的にすることが非常に重要です。目的がはっきりすれば、目標額や貯金ペースが見えてきます。
例えば、以下のような目的が考えられます。
- 短期的な目的(数ヶ月~1年程度):
- 旅行資金を貯める
- 欲しいものを購入するための資金
- 急な出費に備えるための「緊急予備資金」を作る(生活費の3ヶ月~半年分程度が目安と言われます)
- 中期的な目的(数年程度):
- 留学資金やスキルアップのための資金
- 車の購入資金
- 結婚資金
- 長期的な目的(10年以上):
- マイホームの購入資金
- 老後の生活資金
- 子どもの教育資金
このように、目的によって必要な金額や期間は異なります。目的を明確にすることで、貯金へのモチベーションも維持しやすくなります。
具体的な目標額と期間を設定する
目的を明確にしたら、次に具体的な「いつまでに」「いくら」貯めるのかという目標を設定しましょう。
例えば、「1年後までに海外旅行のために30万円貯める」という目標を設定したとします。この場合、月にいくら貯めれば良いか計算できます。
- 目標額:30万円
- 期間:12ヶ月
- 月に貯めるべき金額:30万円 ÷ 12ヶ月 = 2万5千円
このように、目標額と期間が決まれば、毎月あるいは毎週貯めるべき金額が分かり、具体的な行動計画が立てやすくなります。目標設定は、高すぎても低すぎてもモチベーションが維持しにくい場合があります。無理のない範囲で、少し頑張れば達成できるくらいの目標から始めるのがおすすめです。
目標設定に役立つツールとして、家計簿アプリやスプレッドシートなどを活用するのも良いでしょう。視覚的に目標と現在の進捗を確認できると、さらにモチベーションにつながります。(将来的に、目標設定シートの例をこの部分に表示することを想定しています。)
無理なく貯金を始めるステップ
目標が設定できたら、いよいよ貯金を始める具体的なステップに進みましょう。
ステップ1:現在の収入と支出を把握する まずは、自分が毎月どれくらい収入があり、何にどれくらいお金を使っているのかを知ることが全ての始まりです。収入から支出を差し引いた残りが、理論上貯金できる金額です。
- 収入の把握: 給料、アルバイト代など、全ての収入源をリストアップします。
- 支出の把握: 食費、家賃、水道光熱費、通信費、交通費、交際費など、全ての支出項目を記録します。家計簿アプリ、ノート、スプレッドシートなど、自分が続けやすい方法で記録してみましょう。
最初のうちはざっくりとした把握でも構いません。続けることが大切です。「お金の基本:収入と支出を把握する第一歩」の記事も参考にしてみてください。
ステップ2:貯金する金額を決める ステップ1で収入と支出を把握したら、目標達成に向けて毎月いくら貯金に回せるか、現実的な金額を決めます。
ここで大切な考え方が、「収入 − 貯金額 = 支出」という順番で考える方法です。これは「先取り貯金」と呼ばれます。収入があったらまず貯金分を別の場所に移し、残ったお金で生活するという考え方です。多くの人がやりがちな「収入 − 支出 = 貯金額」だと、残ったお金をついつい使ってしまい、なかなか貯金が増えません。
例えば、手取り月収が20万円で、月に2万5千円を貯金したい場合、以下のように考えます。
20万円(収入) − 2万5千円(貯金) = 17万5千円(生活費として使えるお金)
この17万5千円の中でやりくりすることを意識します。
ステップ3:貯金する仕組みを作る 先取り貯金を実践するために、貯金する仕組みを自動化するのがおすすめです。
- 銀行の自動積立定期預金: 毎月給料日後に自動的に一定額を普通預金口座から定期預金口座へ振り替える設定ができます。これにより、手動で移す手間が省け、使い込みを防げます。
- 別の銀行口座を利用する: 生活費用とは別の銀行口座を貯金専用として開設し、給料が入ったらすぐに貯金分を移します。すぐに引き出せないように、キャッシュカードを作らないという方法もあります。
このように、意識しなくても自動的にお金が貯まる仕組みを作ることで、貯金が習慣化しやすくなります。(将来的に、自動積立設定の手順を図で示すことを想定しています。)
貯金が続かないときの原因と対策
「貯金を始めたけれど、途中で挫折してしまった」という経験がある方もいるかもしれません。貯金が続かない原因の多くは、以下の点にあります。
- 目標が不明確、または高すぎる: 何のために、いつまでに、いくら貯めるのかが曖昧だと、モチベーションが維持できません。また、現実離れした高すぎる目標はプレッシャーになり、諦めにつながります。
- 対策: 目的を明確にし、達成可能な目標額と期間を設定し直しましょう。小さな目標から始めるのも有効です。
- 収入と支出を把握できていない: 自分が何にいくら使っているか分からないと、どこを改善すれば貯金できるのかが見えません。
- 対策: 最低1ヶ月、集中的に家計簿をつけてみましょう。意外な無駄遣いが見つかることがあります。
- 先取り貯金をしていない: 残ったお金を貯めようと思っても、誘惑が多くてつい使ってしまいます。
- 対策: 給料が入ったらすぐに貯金分を別の口座に移す「先取り貯金」を実践しましょう。自動積立サービスを利用するのが最も簡単です。
- 節約を頑張りすぎている: 過度な節約はストレスになり、リバウンドにつながることがあります。
- 対策: 無理な節約ではなく、無理なく続けられる支出の見直しから始めましょう。例えば、使っていない定額サービス(サブスクリプション)を解約したり、通信費を見直したりすることなどが効果的です。
まとめ:貯金は「習慣」にすることを目指しましょう
貯金は、一度に大きな金額を貯めることよりも、毎月コツコツと続けていくことが大切です。今回解説したように、
- 貯金の目的を明確にする
- 具体的な目標額と期間を設定する
- 無理なく貯金を始めるステップ(収入と支出の把握、貯金額の設定、自動化)を踏む
- うまくいかない原因を知り、対策を講じる
これらのステップを実践することで、着実に貯金を増やすことができます。特に、先取り貯金など、自動的に貯まる仕組みを作ることが、貯金を習慣にする上で非常に効果的です。
まずはできることから一つずつ始めてみましょう。小さな一歩が、将来の大きな安心につながります。