はじめてのキャッシュレス決済:自分に合った選び方と安全な使い方
お金のやり取りは、かつては現金が中心でしたが、近年は「キャッシュレス決済」が急速に普及しています。お店での支払いはもちろん、オンラインショッピングや公共料金の支払いなど、さまざまな場面でキャッシュレス決済が利用できるようになりました。
キャッシュレス決済には、現金の持ち歩きが不要になる、ポイント還元でお得になる、支出の管理がしやすくなるなど、多くのメリットがあります。一方で、種類が多くてどれを選べば良いか分からない、使いすぎが不安、セキュリティ面が心配、といった疑問や不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。
この章では、はじめてキャッシュレス決済に触れる方に向けて、主なキャッシュレス決済の種類とその仕組み、それぞれのメリット・デメリット、そして自分に合った選び方と安全な使い方について分かりやすく解説します。
キャッシュレス決済とは何ですか?
キャッシュレス決済とは、現金を使わずに支払いを行う方法全般を指します。クレジットカードやデビットカードのようなカードを使ったもの、スマートフォンを使ったものなど、様々な形があります。
なぜキャッシュレス決済が広まっているのでしょうか。主な理由として、次のような点が挙げられます。
- 利便性の向上: 現金が手元になくても支払いができます。ATMでお金を引き出す手間も省けます。
- 支払いのスピーディー化: カードをかざしたり、スマートフォンの画面を見せたりするだけで支払いが完了し、レジでのやり取りがスムーズになります。
- お得な特典: 利用金額に応じたポイント還元や、特定の店舗での割引、キャンペーンなど、現金払いにはないメリットがあります。
- 支出の管理: 利用履歴がデータとして残るため、後からいつ・どこで・いくら使ったのかを確認しやすく、家計管理に役立てることができます。
キャッシュレス決済の主な種類を知りましょう
キャッシュレス決済にはいくつかの種類があり、それぞれ仕組みや特徴が異なります。代表的なものをいくつかご紹介します。
クレジットカード
商品やサービスを購入した際に、代金をカード会社が一時的に立て替え払いする仕組みです。利用者は後日、カード会社にまとめて利用金額を支払います。
- 特徴: 後払い。高額な買い物にも利用しやすい。ポイント還元や付帯サービス(保険など)が充実している場合が多い。
- 注意点: 利用した分は必ず支払う義務があります。使いすぎには注意が必要です。また、原則として審査が必要です。
デビットカード
銀行のキャッシュカードと一体になっているものや、単体のカードがあります。利用すると、代金がその場で登録した銀行口座から即時に引き落とされます。
- 特徴: 銀行口座の残高内で利用できるため、使いすぎの心配が少ないです。審査は不要な場合が多いです。
- 注意点: 口座に残高がないと使えません。一部のサービス(高速道路料金やガソリンスタンドなど)では利用できない場合があります。
プリペイドカード
事前にチャージ(入金)した金額の範囲内で利用できるカードです。ギフトカードや特定の店舗で使えるカード、交通系ICカードなど、様々な種類があります。
- 特徴: チャージした金額以上には使えないため、予算管理がしやすいです。クレジットカードのように使いすぎる心配がありません。審査は不要です。
- 注意点: チャージした金額がなくなったら使えません。払い戻しができない場合や手数料がかかる場合があります。
スマホ決済(QRコード決済、バーコード決済)
スマートフォンアプリを利用して支払いを行う方法です。お店に表示されたQRコードを読み取ったり、アプリに表示されたバーコードを提示したりして決済します。銀行口座やクレジットカード、または事前にチャージした残高から支払われます。
- 特徴: スマートフォン一つで支払いが完了します。各社が独自のポイント還元やキャンペーンを積極的に行っており、お得に利用できる機会が多いです。
- 注意点: スマートフォンのバッテリーが切れると使えません。利用できるお店がサービスによって異なります。
電子マネー(交通系ICカード、流通系電子マネーなど)
カードやスマートフォンにあらかじめチャージしておき、端末にかざす(タッチする)ことで支払いができるものです。SuicaやPASMOのような交通系、WAONやnanacoのような流通系などがあります。
- 特徴: 端末にかざすだけで支払いが完了するため、非常にスピーディーです。コンビニエンスストアや自動販売機など、小額決済が中心の場所で利用しやすいです。
- 注意点: 事前にチャージが必要です。サービスごとに利用できる場所が異なります。
自分に合ったキャッシュレス決済の選び方
これだけ種類があると、どれを選べば良いか迷ってしまうかもしれません。ご自身の使い方や目的に合わせて、いくつかの視点から考えてみましょう。
視点1:使いすぎが不安ですか?
- 使いすぎを防ぎたい: デビットカードやプリペイドカード、事前にチャージするタイプのスマホ決済や電子マネーがおすすめです。口座残高やチャージ額以上には使えないため、予算管理がしやすいです。
- 計画的に利用できる: クレジットカードは後払いなので使いすぎのリスクがありますが、利用明細で支出を把握しやすいメリットもあります。計画的に使えば、ポイント還元などでよりお得になる可能性があります。
視点2:主にどこで利用したいですか?
- 日常の買い物、コンビニ、自動販売機: 電子マネーやスマホ決済がスピーディーで便利です。利用できるお店はサービスによって異なるため、よく行くお店で使えるか確認しましょう。
- オンラインショッピング: クレジットカードやデビットカード、またはそれらを連携させたスマホ決済が一般的です。
- 大きな買い物: クレジットカードは高額決済に向いています。デビットカードは口座残高内での利用になります。
視点3:お得さを重視しますか?
- ポイント還元やキャンペーン: スマホ決済やクレジットカードは、比較的ポイント還元率が高かったり、様々なキャンペーンを行っていたりします。
- 特定の店舗での利用: よく利用するお店やサービスがある場合、そのお店独自の電子マネーや提携しているキャッシュレス決済がお得になることがあります。
視点4:管理のしやすさを重視しますか?
- 利用履歴をまとめて見たい: 多くのキャッシュレス決済はアプリやウェブサイトで利用履歴を確認できます。複数のキャッシュレス決済を利用する場合は、家計簿アプリなどと連携すると管理しやすくなります。
いきなり全てを使う必要はありません。まずはご自身の生活スタイルに合ったものを一つか二つ選んで試してみるのがおすすめです。例えば、「普段使いのコンビニで使える電子マネー」と「オンラインショッピング用のデビットカード」のように使い分けることもできます。
キャッシュレス決済を安全に使うために
キャッシュレス決済は便利ですが、安全に使うための注意点もいくつかあります。
- パスワードや暗証番号を適切に管理する: 他人に知られないよう、推測されやすい番号は避けましょう。
- 利用通知を設定する: アプリやメールで利用があるたびに通知が来るように設定しておくと、身に覚えのない利用にすぐに気づくことができます。
- カードやスマートフォンを紛失・盗難した場合の連絡先を確認しておく: 万が一の場合に、すぐに利用停止の手続きができるよう、連絡先を控えておきましょう。多くのサービスには不正利用に対する補償制度があります。
- 不審なサイトやアプリに注意する: フィッシング詐欺など、個人情報を抜き取ろうとする悪質な手口があります。公式サイトや正規のアプリ以外で個人情報やパスワードを入力しないようにしましょう。
- 公共のWi-Fi利用時は注意する: セキュリティ対策が不十分な公共Wi-Fiでは、通信内容が傍受されるリスクがあります。個人情報や決済情報を入力する際は、信頼できるネットワークを利用しましょう。
まとめ
キャッシュレス決済は、私たちの生活をより便利で快適にしてくれるツールです。クレジットカード、デビットカード、プリペイドカード、スマホ決済、電子マネーなど、様々な種類があり、それぞれに特徴があります。
はじめて利用する際は、まずそれぞれの仕組みを知り、ご自身の「使いすぎが不安か」「どこで使いたいか」「お得さを重視するか」といった視点から、自分に合ったものを選ぶことが大切です。
また、どんなに便利なツールでも、安全に使うための知識は不可欠です。パスワード管理や利用通知の設定、不審な情報への注意など、基本的な対策をしっかりと行うことで、安心してキャッシュレス決済のメリットを享受できるでしょう。
まずは身近な場所で使えるキャッシュレス決済から試してみてはいかがでしょうか。この章が、皆さんがキャッシュレス決済を始めるための一歩となることを願っています。