はじめてのライフプラン:将来を考えるお金の計画
お金の管理と聞くと、毎月の収入や支出を把握したり、貯金を始めたりすることを思い浮かべる方が多いかもしれません。これらはもちろん大切なお金の基本ですが、お金は「今」の生活だけでなく、「将来」の自分や大切な人のためにも重要な役割を果たします。
将来について考え始めると、結婚、子育て、住宅の購入、あるいはセカンドライフなど、漠然とした不安や疑問が出てくることがあります。「いつまでに、いくらくらい必要になるのだろう?」「今のうちに何を準備しておけば良いのだろう?」と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、そのような将来のお金に関する不安を少しでも和らげ、具体的な行動につなげるための一歩として、「ライフプラン」という考え方をご紹介します。ライフプランがどのようなものか、なぜ若いうちから考えることが大切なのか、そしてどのように考え始めれば良いのかを分かりやすく解説します。
ライフプランとは「人生の設計図」
ライフプランとは、これから迎えるご自身の人生において、「いつ」「何をしたいか」「どのような生活を送りたいか」といった希望や目標を立て、それに必要なお金と結びつけて考える計画のことです。いわば、ご自身の「人生の設計図」のようなものと言えるでしょう。
例えば、 * ○歳までに独立して一人暮らしを始めたい * ○歳までに結婚したい * 将来はマイホームを持ちたい * 子供は何人欲しい * 仕事でこんなキャリアを築きたい * 退職後は趣味に時間を使いたい
といった、人生の様々な節目に起こりうる出来事(これを「ライフイベント」と呼びます)と、それに伴うお金の流れを時系列で整理していきます。
なぜ若いうちからライフプランを考えることが大切なのでしょうか?
「将来のことなんて、まだピンとこない」「遠い将来を考えるのは難しい」と感じる方もいるかもしれません。しかし、若いうちからライフプランを考えることには、いくつかの大きなメリットがあります。
- 時間が味方になる: 目標達成のために使える時間が長くなります。例えば、大きな目標額を貯めたい場合でも、時間をかけて少額ずつ準備を進めることが可能です。複利の効果(運用で得た利益がさらに利益を生む効果のこと)を期待する場合も、長期であるほどその効果は大きくなります。
- 選択肢が増える: 将来必要なお金や時期を早めに把握することで、準備のための様々な選択肢を検討できます。貯蓄の方法、お金の使い方、働き方など、柔軟に対応しやすくなります。
- リスクに備えやすくなる: 病気や予期せぬ出来事など、人生には不確実な要素もつきものです。将来のお金の流れを想定しておくことで、万が一の場合に備えるための準備(保険の検討など)を計画的に行いやすくなります。
- 今の行動が変わる: 将来の目標が明確になることで、「何のために貯金するのか」「何にお金を使うべきか」といった、日々の生活におけるお金の使い方にメリハリが生まれます。漠然とした不安が、具体的な目標と計画に変わり、前向きな行動につながるでしょう。
ライフイベントとお金の具体的なつながり
私たちの人生には、様々なお金のかかるライフイベントがあります。いくつかの代表的な例を見てみましょう。
- 進学: 大学や専門学校などの費用
- 就職・社会人スタート: 一人暮らしの初期費用、車の購入など
- 結婚: 結婚式費用、新居への引っ越し費用など
- 出産・育児: 出産費用、子供の教育費(幼稚園から大学まで)
- 住宅購入: 頭金、住宅ローンの返済、固定資産税など
- セカンドライフ: 生活費、医療費、趣味・旅行費など
これらのライフイベントは、人それぞれ起こる時期も必要なお金も異なります。例えば、教育費は子供の進路によって大きく変わりますし、住宅購入の時期や予算も様々です。
ライフプランを考える際には、「自分はこれらのイベントをいつ頃迎えたいか」「そのためにどのくらいのお金が必要になりそうか」を具体的に考えていくことが重要です。
はじめてのライフプラン作成、何から始める?
難しく考える必要はありません。まずは、簡単なことから始めてみましょう。以下のステップを参考にしてみてください。
ステップ1:将来の夢や目標を自由に書き出してみる
まずは、ノートやスマートフォンのメモ機能など、使いやすいものを使って、将来の「こうなりたい」「これをしたい」といった夢や目標を自由に書き出してみましょう。箇条書きで構いません。具体的な内容はもちろん、「漠然とこんな感じ」といったものでも大丈夫です。
例えば、「30歳までに海外旅行に行く」「結婚して子供が欲しい」「郊外に一軒家を持ちたい」「老後は海外で暮らしたい」など、どんなことでも構いません。
ステップ2:書き出した夢を時系列で整理してみる
ステップ1で書き出した夢や目標を、大まかな年齢や時期とともに並べてみましょう。これは、簡易的な「ライフイベント表」のようなものになります。以下の図のようなイメージです。
(将来的にここに、簡単な年表のような図が入ることを想定しています)
- 25歳:海外旅行に行く
- 28歳:結婚する
- 30歳:子供が生まれる
- 35歳:マイホームの頭金を貯め始める
- 40歳:マイホームを購入する
- 65歳:退職する
このように整理することで、将来の出来事がより具体的に見えてきます。
ステップ3:それぞれのイベントに必要なお金の目安を調べる
ステップ2で整理したライフイベントについて、必要になりそうなお金の目安をインターネットなどで調べてみましょう。「結婚費用 平均」「住宅購入 頭金 相場」「子供 大学 学費」といったキーワードで検索すると、多くの情報が見つかります。
ただし、表示される金額はあくまで一般的な目安であり、人それぞれ、また地域や選択肢によって大きく変動します。「だいたいこれくらいか」という参考にする程度にとどめ、ご自身の状況に合わせて考えることが大切です。
ステップ4:現在のご自身のお金を把握する
将来の計画を考えるためには、まず現在地を知ることが重要です。今の収入はいくらか、毎月いくらくらい支出しているか、現在の貯金はいくらか、といったご自身のお金の状況を把握しましょう。
収入と支出の把握や貯金の始め方については、当サイトの他の記事(例:「お金の基本:収入と支出を把握する第一歩」「はじめての貯金:無理なく始める第一歩」)もぜひ参考にしてください。
ステップ5:目標と現状のギャップを知り、計画を立て始める
ステップ2とステップ3で将来の目標と必要なお金の目安が見えてきました。ステップ4で現状のお金が分かりました。次に、目標達成のためには「いつまでに」「いくら」足りないのか、そのギャップを認識します。
そして、そのギャップを埋めるために「毎月あといくら貯金する必要があるか」「無駄な支出はないか」などを具体的に考え始めましょう。これが、将来に向けたお金の計画の第一歩となります。
ライフプランは「作って終わり」ではない
ライフプランは一度作成したらそれで終わり、というものではありません。人生は予測できない出来事の連続です。仕事の状況が変わったり、家族が増えたり、新しい夢ができたりと、状況は常に変化します。
そのため、ライフプランも定期的に見直し、必要に応じて修正していくことが大切です。例えば、年に一度、ご自身の誕生日やお正月のタイミングなどで、ライフプランを見直す時間を持つことをおすすめします。
まとめ:ライフプランで将来への一歩を踏み出そう
ライフプランを考えることは、決して難しいことではありません。まずは将来の夢や目標を自由に描き、それがいつ頃叶いそうか、どのくらいお金がかかりそうかを大まかに考えてみることから始めてみてください。
そして、その目標達成のために、今できること(収入・支出の把握、貯金、無駄遣いの見直しなど)を一つずつ実行していくことが重要です。ライフプランを考えることで、将来に対する漠然とした不安が具体的な計画へと変わり、日々の生活やお金との向き合い方がより前向きなものになるはずです。
この記事が、あなたがご自身のライフプランを考え始めるための、小さな一歩となれば幸いです。