はじめてのお金の目標設定:なぜ必要で、どう始める?
お金に関する漠然とした不安を感じることはありませんか。将来のためにお金を貯めたい、でも何から始めれば良いか分からない、そう感じる方もいらっしゃるかもしれません。
このような漠然とした不安を解消し、将来に対する希望を持つための有効な手段の一つに、「お金の目標設定」があります。お金の目標を明確にすることで、日々の収入や支出、貯蓄といったお金に関する活動に明確な方向性が生まれます。
この記事では、お金の目標設定がなぜ重要なのか、どのような目標があるのか、そして実際にどのように目標を立てていけば良いのかを、分かりやすく解説します。お金について考え始める第一歩として、ぜひ参考にしてください。
なぜお金の目標設定が必要なのか?
お金の目標設定は、お金を管理し、将来の夢や希望を実現するための「羅針盤」のようなものです。目的地が定まっていなければ、どこへ向かえば良いか分からず、さまよってしまうことがあります。お金も同様で、明確な目標がないと、何のためにお金を貯めるのか、何にお金を使うのかといった判断基準が曖昧になりがちです。
目標設定によって、以下のメリットが期待できます。
- お金の使い道に優先順位がつけられる: 漠然とした支出が減り、本当に価値を感じるものや将来の目標達成につながるものにお金を使えるようになります。
- 貯蓄や資産運用のモチベーションが高まる: 具体的な目標があると、「〇〇のために頑張ろう」という意欲が湧きやすくなります。
- 漠然とした不安が具体的な計画に変わる: 「将来が不安」という気持ちが、「いつまでに〇〇円必要で、そのためには毎月〇〇円貯めよう」という具体的な行動計画に落とし込まれます。
- 計画的にお金を使えるようになる: 予算管理などと合わせて行うことで、無計画な衝動買いなどを減らし、お金の流れをコントロールしやすくなります。
どんなお金の目標がある?(目標の種類の紹介)
お金の目標は、期間や目的によってさまざまな種類があります。ご自身のライフスタイルや将来の計画に合わせて、無理なく設定できる目標を見つけてみましょう。
一般的に、お金の目標は達成したい期間によって次のように分類されることがあります。
- 短期目標(数ヶ月~1年程度):
- 旅行資金を貯める
- 欲しかったものを購入するための資金を貯める
- 緊急予備資金(もしもの時に備えるお金)の一部を貯める
- 中期目標(数年~10年程度):
- 車の購入資金を貯める
- 留学資金を貯める
- 結婚資金や出産・育児資金を貯める
- 独立・起業のための資金を準備する
- まとまった金額の貯蓄を作る
- 長期目標(10年以上):
- 住宅の購入資金を貯める
- 子供の教育資金を準備する
- 老後資金の準備を始める
これらの期間分類は目安です。ご自身の状況に合わせて、自由に目標を設定することが大切です。例えば、「1年間で10万円貯める」という金額の目標や、「毎月〇円投資に回す」といった行動に関する目標設定も考えられます。
お金の目標を具体的に立てるステップ
それでは、実際にお金の目標をどのように立てていけば良いのか、具体的なステップを見ていきましょう。以下のステップに沿って進めることで、漠然とした「貯めたい」という気持ちが、具体的な行動計画へと変わっていきます。
ステップ1:達成したい目標を明確にする(何を、いつまでに)
まず、あなたが「お金を使って実現したいこと」や「将来のために備えたいこと」を具体的に書き出してみましょう。このとき、目標をできるだけ明確にするのがポイントです。
- 漠然とした目標を具体的に: 「貯金したい」ではなく、「1年後に海外旅行に行くために30万円貯める」のように、「何のために」「いくら」「いつまでに」を具体的にします。
- 金額と期間を設定: 目標達成に必要な金額と、それをいつまでに達成したいかを決めます。具体的な数字を設定することで、後の計画が立てやすくなります。
最初は一つか二つ、達成可能な範囲の目標から始めることをお勧めします。
ステップ2:現状を把握する
目標が決まったら、次はその目標に対するあなたの現状を確認します。
- 収入と支出の確認: 現在の手取り収入がいくらか、そして毎月何にいくら使っているかを把握します。家計簿をつける、家計管理アプリを使うなど、ご自身に合った方法で、お金の流れを見える化することが重要です。(参考:はじめてのスマホ家計管理:アプリで収入と支出を把握しよう)
- 現在の貯蓄や資産額を確認: 目標達成のために使える現在のお金がいくらあるかを確認します。
現状を正確に把握することで、目標達成までにあとどれくらいのお金が必要で、どれくらいのペースで貯める必要があるのかが見えてきます。
ステップ3:目標達成のための計画を立てる
ステップ1で設定した目標と、ステップ2で把握した現状を踏まえて、具体的な計画を立てます。
- 必要な金額と期間から逆算: 例えば、「1年後に30万円貯める」目標なら、毎月約2万5千円貯める必要がある、と計算できます。
- お金の捻出方法を考える: 毎月の収入からいくらを貯蓄や投資に回すか、支出をどう減らすか(節約)、副収入を得る可能性などを検討します。無理のない範囲で継続できる計画を立てることが大切です。
- 貯蓄や投資の方法を選ぶ: 銀行の普通預金、積立預金、NISAなどを活用した投資など、お金を「どこに置くか」「どう増やすか」も計画に含めます。(参考:はじめての貯金:無理なく始める第一歩、はじめての投資:なぜ今から始めるべき?超基本の考え方)
計画は、あまり難しく考えすぎず、まずは「毎月〇円を貯蓄用口座に移す」といったシンプルなものから始めてみても良いでしょう。
ステップ4:定期的に見直しを行う
計画を立てて実行に移したら、それで終わりではありません。定期的に計画通りに進んでいるかを確認し、必要に応じて見直しを行うことが重要です。
- 進捗を確認: 定期的に(例えば毎月、3ヶ月に一度など)貯蓄額を確認し、計画通りに進んでいるかチェックします。
- 計画や目標を修正: 収入が減った、予期せぬ大きな出費があった、または収入が増えた、目標自体が変わったなど、状況が変わることはよくあります。その際は、無理なく続けられるように計画や目標を柔軟に見直しましょう。
一度立てた目標や計画に縛られすぎる必要はありません。ご自身の状況に合わせて、常に最適な形に調整していくことが、目標達成への近道となります。
目標設定を成功させるためのヒント
お金の目標設定と計画を立て、実行していく上で役立つヒントをいくつかご紹介します。
- 小さな目標から始める: 最初から高すぎる目標を設定すると、達成できなかった時に挫折しやすくなります。まずは「1ヶ月で1万円貯める」など、達成可能な小さな目標から始めて、成功体験を積み重ねていくのが効果的です。
- 目標を「見える化」する: 設定した目標や計画を、手帳に書き出す、スマートフォンのリマインダーに登録する、パソコンのデスクトップに貼り付けるなど、常に意識できるように工夫しましょう。
- 家計管理とセットで行う: 収入と支出を把握する家計管理は、目標達成計画の基盤となります。家計の状況に合わせて、現実的な目標や計画を立てやすくなります。
- 完璧を目指さない: 最初から完璧な計画を立てようと気負う必要はありません。まずは始めてみて、試行錯誤しながら自分に合った方法を見つけていく姿勢が大切です。
まとめ
お金の目標設定は、お金に関する漠然とした不安を解消し、ご自身の夢や希望を実現するための強力なツールとなります。なぜ目標が必要なのかを理解し、短期・中期・長期など、ご自身の状況に合った目標の種類を知り、具体的なステップに沿って目標を立ててみてください。
目標を明確にし、計画を立て、定期的に見直しを行うことで、お金を「貯める」だけでなく、「何のために貯めるのか」「貯めたお金で何を実現するのか」という目的意識を持つことができます。
完璧な目標や計画でなくても構いません。まずは小さな一歩として、あなたのお金の目標を一つ設定するところから始めてみましょう。それが、将来に対する漠然とした不安を具体的に解決し、より豊かな人生を送るための確かな一歩となるはずです。